海外ネットワーク(NHK)

毎週日曜日の6時15分ごろから、NHKの定例番組「海外ネットワーク」が始まる。興味ある番組の一つで、大体毎回見ているが、見終わると何か苦笑いが漏れてしまう。別に番組の内容が悪いというわけではない。見ていると男のキャスターがしきりと解説している。すると、女性のキャスターが、「--と言う事はどうなんでしょうか?」と聞く、すると男のキャスターが「それは、かくかくしかじか」と解説する。すると、女性キャスターが、「--と言う事にはならないでしょうか?」と聞く。すると男性キャスターは、(少しも慌てず)「それはかくかくしかじか」と解説・解読して見せる。

こうして番組は進んでいく。そこで、先ずは、この男性キャスターが、女性キャスターからのいかなる質問にも戸惑うことなく又、慌てることなく答えていくところに感心するわけであるが、勿論、これはこの男性キャスターが、博覧にして強記、日ごろからこの番組に備えて飛び交う海外の情報を懸命に集め分析している、そしてにこやかにこの番組に現れる、というわけではない(だろう)。つまり、これは、ニュース「番組」であり、キャスターとしては与えられたシナリオをこなしているだけだ。このような「役割」を割り振られ、それを演じているとみるのがあたっているはずだ。つまり、この男女二人のキャスターは、まさにシナリオ通りの「役割」を演じているわけだが、実は、この役割分担が面白い。つまり、ここで、あからさまに女性はなにも知らない、そこで、色々と聞く、すると男性がしたりとばかりに解説して見せたり、問題に解答を与えてたりする、というこの「役割分担」が実に興味深いのだ。そしてこれがなんとなく苦笑いをもたらす所以である。試みに、この役割分担を替えてみてはどうか。つまり、番組では男性キャスターいろいろ疑問を出す。そしてどうでしょうかと切り出すと、女性キャスターが、それはかくかくしかじかと解説する。そこで、又、男性がそれではこういう事はどうなんでしょうかと聞くと女性がかくかくと答えてくれる。こういう風に番組を作っても勿論何の不思議もない。

つまり、この海外ネットワークでは、いみじくもわれわれが普通に持っている観念ーー固定観念が知らず知らずにあらわれているわけだ。つまり、女性はあまり世間の事は知らず、男性が教えてあげる、という昔馴染みな役割分担である。多分、家庭の中では、今でもこのような風景がよく見られるに違いない。奥さんがこれはどういう事と聞き、旦那様がそれはかくかくしかじかと答える、あの古き男女の姿である。

アベのミックスを引くまでもなく、今や女性の機会均等、社会進出、更には指導的な立場への、登用が叫ばれている。別にNHKは政府の機関でもないし格別特別視する必要もないわけだが、何かこの番組は、女性の社会的な地位向上と進出を叫んでいる政府のおひざ元で、相も変らぬふるい男女の役割を演じているというような印象が抜けない。

この番組を見ていると、なかなか人間の一度しみついた観念は抜けないものだと感じるが、これに関連して多少奇妙な経験がある。実は、ある個人的な小パーテイで何かの余興で、各自がそれぞれちょっと笑えるジョークか或はなぞなぞを披露するというゲームをやった。細かいことは忘れてしまったし、多少の言葉の綾のようなところは忘れてしまったが、その中のひとりで医師をしている人が、次のようなクイズを出したー

ある街に敏腕の脳外科医がいた。その腕の確かさは大変評判で、どんな危機的な状況でも脳外科というむつかしい手術をこなしていくという。ところがある時、町の子供が交通事故に会い、緊急に脳の手術が必要になり、まさにその外科医のところに運びこまれた。すると、当の外科医は、「これは私の子供だ」といい、とても自分で手術をすることはできないといった。何故この外科医はこのような反応を示したのか?

というクイズで、それぞれに勝手に想像して意見を述べたが、当の医師によると正解は、「実はその医師は子供の母親だった」と言うものである。当の医師の説明によると、ポイントは脳外科医と聞いたとたんに、誰もが医師を男性とイメージする。ここで女性をイメージすることはほとんどない、と言う事だそうである。確かに、ここで、脳外科医は母だったという発想で答えた人は誰もいなかった。これほど、実は男と女の役割についてわれわれには拭いがたい刷り込みがあるのだーーという解説であった。

女性の社会的な役割について、おもいきった転換が問われている。ということはまさに男性の役割の転換でもあることは当然である。そのためには、われわれのーー特に日本人のーー頭の中に刷り込まれている固定観念を振り返ってみることが必要だ。この「海外ネットワーク」で、男性が「どうでしょうか」と聞き、女性が「それはかくかくしかじか」と解説する。すると男性が「--という点はどうなんでしょうか」と聞くと、女性が「それはかくかくしかじか」と解説する。こういう役割分担に切り替えてみることを提唱したい。

 

 

 

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